小さな小さな村があった。
そこに生まれた一人の少女。
日の光を受けて輝くブロンドの髪、無垢な瞳の彼女は『日溜まり』を意味する名を持っていた。
誰もが少女の美しさを誉め称えた。
しかし呪いは既に始まっていた。
彼女は成長するにつれ、その美しいブロンドを闇の色へと変えていった。
漆黒は不吉を意味する。
人々は手の平を返したように彼女を避けるようになった。
更に彼女は年を取らなくなった。
同じ年に生まれた子が大人へと成長しても、彼女だけは16歳の少女のまま。
ますます人々は彼女を避けた。
彼女が村を出るのも時間の問題だった。
やがて彼女は少しの荷物を手に村を出た。
村から遠く離れた小さな森に辿り着いた彼女は、偶然見つけた小屋に落ち着いた。
彼女はね、死ぬ事を許されない身だったのさ。
前世で犯した罪に縛られた、哀れな存在。
罪を負って魔女に堕ちたのさ。
ずっとこうして生きていくのかと彼女は毎晩涙した。
そんな彼女を救ってやろうと、一人の魔女が現れた。
そして彼女に鍵を与えた。
「その鍵が、お前さんなんだよ。」
祖母の言葉に僕は呆然とした。
僕が…何だって?
「…どういう事?」
「そのまんまさ。お前は彼女を救えるんだ。」
罪を背負って生まれたお前だからね、と祖母は比較的穏やかな声で言った。
魔女は言った。
『貴女の魂を半分でいい、別の体に宿すんだ。人間の子の体に。』
人間の子の魂は消えて、体は貴女の魂に染まるだろう。
子供とはいえ、一人の人間を消滅させるんだ。
貴女の半身は更に罪を背負い成長する。
時が満ちれば貴女を救える。
殺してもらうのよ、その子に。
死をもって罪は償われるでしょう。
さぁ、私に鍵となる魂を渡しなさい。
そしたら時が満ちるまで、この森で歌を歌って待ちなさい。
その美しい歌声で、己に向けた鎮魂歌を――
6に続く
そこに生まれた一人の少女。
日の光を受けて輝くブロンドの髪、無垢な瞳の彼女は『日溜まり』を意味する名を持っていた。
誰もが少女の美しさを誉め称えた。
しかし呪いは既に始まっていた。
彼女は成長するにつれ、その美しいブロンドを闇の色へと変えていった。
漆黒は不吉を意味する。
人々は手の平を返したように彼女を避けるようになった。
更に彼女は年を取らなくなった。
同じ年に生まれた子が大人へと成長しても、彼女だけは16歳の少女のまま。
ますます人々は彼女を避けた。
彼女が村を出るのも時間の問題だった。
やがて彼女は少しの荷物を手に村を出た。
村から遠く離れた小さな森に辿り着いた彼女は、偶然見つけた小屋に落ち着いた。
彼女はね、死ぬ事を許されない身だったのさ。
前世で犯した罪に縛られた、哀れな存在。
罪を負って魔女に堕ちたのさ。
ずっとこうして生きていくのかと彼女は毎晩涙した。
そんな彼女を救ってやろうと、一人の魔女が現れた。
そして彼女に鍵を与えた。
「その鍵が、お前さんなんだよ。」
祖母の言葉に僕は呆然とした。
僕が…何だって?
「…どういう事?」
「そのまんまさ。お前は彼女を救えるんだ。」
罪を背負って生まれたお前だからね、と祖母は比較的穏やかな声で言った。
魔女は言った。
『貴女の魂を半分でいい、別の体に宿すんだ。人間の子の体に。』
人間の子の魂は消えて、体は貴女の魂に染まるだろう。
子供とはいえ、一人の人間を消滅させるんだ。
貴女の半身は更に罪を背負い成長する。
時が満ちれば貴女を救える。
殺してもらうのよ、その子に。
死をもって罪は償われるでしょう。
さぁ、私に鍵となる魂を渡しなさい。
そしたら時が満ちるまで、この森で歌を歌って待ちなさい。
その美しい歌声で、己に向けた鎮魂歌を――
6に続く
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