両手を広げる彼女の元へ、一歩ずつ近づいていく。
どこか懐かしさを覚えるのは魂が同じだからか、大好きだった祖母の実の娘だからか…。
あるいはその両方か…。
次第に縮まっていく距離。
美しい魔女はただ両手を広げて待っているだけ。
迷う必要など僕にはなかった。
もうどこにも居場所がないのだから、逃げても無意味であると知っていた。
それでも一歩ずつ、少しずつ歩を進めるのは、刻みたいからだ。
何の役にも立たないと、邪魔者だと言われ育った僕が、やっと人の役に立てる時が来た。
罪を背負っていたとしても、僕には嬉しくて、誇らしくいられる瞬間だった。
だから形として残らなくても、想いという見えない形を、しっかり地を踏みしめることで残したい。
そう感じたからだ。
9に続く
どこか懐かしさを覚えるのは魂が同じだからか、大好きだった祖母の実の娘だからか…。
あるいはその両方か…。
次第に縮まっていく距離。
美しい魔女はただ両手を広げて待っているだけ。
迷う必要など僕にはなかった。
もうどこにも居場所がないのだから、逃げても無意味であると知っていた。
それでも一歩ずつ、少しずつ歩を進めるのは、刻みたいからだ。
何の役にも立たないと、邪魔者だと言われ育った僕が、やっと人の役に立てる時が来た。
罪を背負っていたとしても、僕には嬉しくて、誇らしくいられる瞬間だった。
だから形として残らなくても、想いという見えない形を、しっかり地を踏みしめることで残したい。
そう感じたからだ。
9に続く
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