窓からいつも見ていた森は小さな森だった。
なのにどうだろう、果てが全く見えない。
魔女の森だからと言われればそこまでだが、生憎魔女の姿は見当たらない。
所詮物語だったのだ。
魔女なんているはずがないんだ。
――……
何か…聞こえた。
この森にはいないはずの人の声。
微かに耳に届くそれを頼りに歩いていく。
辺りはもうすっかり暗くて、月の光すら届かないはずなのに、行くべき道は何となくわかった。
その場所は突然現れた。
光の差す唯一の場所。
そこで彼女は歌っていた。
天からの一筋の光に照らされた彼女。
身に纏うのは不吉を意味する黒のドレス、背に流れるのは輝く漆黒の髪。
けれど澄み渡っていくような歌声は清らかで、彼女一人の為に与えられた月の光がやけに神々しくて、
とてもじゃないが、彼女が魔女とは思えなかった。
恐怖なんて感じない。
あるのは好奇心のみ。
ただ彼女に近付きたいという思いだけで歩を進めた。距離を次第に縮め、表情がわかる程度の所まで来た時だった。
「―おかえりなさい」
歌うのを止めた彼女が静かに言った。
その声に僕は眠りに堕ちた。
3に続く
なのにどうだろう、果てが全く見えない。
魔女の森だからと言われればそこまでだが、生憎魔女の姿は見当たらない。
所詮物語だったのだ。
魔女なんているはずがないんだ。
――……
何か…聞こえた。
この森にはいないはずの人の声。
微かに耳に届くそれを頼りに歩いていく。
辺りはもうすっかり暗くて、月の光すら届かないはずなのに、行くべき道は何となくわかった。
その場所は突然現れた。
光の差す唯一の場所。
そこで彼女は歌っていた。
天からの一筋の光に照らされた彼女。
身に纏うのは不吉を意味する黒のドレス、背に流れるのは輝く漆黒の髪。
けれど澄み渡っていくような歌声は清らかで、彼女一人の為に与えられた月の光がやけに神々しくて、
とてもじゃないが、彼女が魔女とは思えなかった。
恐怖なんて感じない。
あるのは好奇心のみ。
ただ彼女に近付きたいという思いだけで歩を進めた。距離を次第に縮め、表情がわかる程度の所まで来た時だった。
「―おかえりなさい」
歌うのを止めた彼女が静かに言った。
その声に僕は眠りに堕ちた。
3に続く
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