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沙羅が日々の出来事を気まぐれに綴っていきます。 アニメ、漫画の感想に関してはネタバレ注意。
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久々にタイトルが漢字ではありません。
最近勉強してないので(笑)

さて、進行中の企画について。
只今CV募集中ですが、本日タイトルロゴをUPしました。
素敵なロゴを製作して頂きましたので、
是非サイトに足を運んでみて下さいね。

そして今日は久々に小説を書きます。
過去に行った予告は無視です(爆)
お得意の少年少女シリーズ。
あまり明るくはありません。
そして読みにくいです。

続きよりどうぞ。


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落ち着いてきたんで、気晴らしに今日書いた小説打ちます。
ダーク系というか、ファンタジーというか…シリアス?
ともかく読めば分かります。
苦手な方はスルーですよ。
彼女が手の届く所まで来たところで、僕はふわりと包むように彼女の背に腕を回した。
僕とさほど変わらない、けれど僕よりずっと小柄な体がそっと寄り添う。
僕の背に回った彼女の腕の感触と共に、小さな鼓動を感じた。
同じ音、同じ早さ、僕らが一つになった時――それは起こった。
何が起こるかと色々想像を巡らせていたのに、終わりはあっけなかった。
魔女は光に溶けて消えたのだ。
一瞬のうちに光の粒子となって、遠い空へ舞い上がっていった。
その様子は僕が今までに見たどんなものよりも美しく、神秘的な光景に思えた。
これできっと彼女は救われたのだろう。
漆黒の魔女は永い時を生きることで罪を償い、朽ちることない肉体も更なる罪を負った己の魂に浄化された。


そう、魔女だけが――
救われるのは魔女だった。
実際彼女は救われた。
では僕は?
同じ魂でも宿る体が違えば、僕は魔女ではないの?
魔女の半身という価値しか持たない僕。
大好きな祖母に認めて欲しかった“僕”という存在を、今になって認められても、僕には何の意味もないよ。
ねぇ、これが僕の罪?
僕の背負う罰なの?
僕の魂が魔女の魂なら、いずれ僕の時も止まる。
そしたら誰が僕を救ってくれるの?
誰からも愛されなかった僕を、一体誰が――

あの森へ行ってはいけないよ
あれは捨てられた森
魔女に見捨てられた哀れな森
あの森へ行ってはいけないよ
魔女に捨てられた魂が
子供の声で嘆いて 歌を紡ぐから――


両手を広げる彼女の元へ、一歩ずつ近づいていく。
どこか懐かしさを覚えるのは魂が同じだからか、大好きだった祖母の実の娘だからか…。
あるいはその両方か…。
次第に縮まっていく距離。
美しい魔女はただ両手を広げて待っているだけ。
迷う必要など僕にはなかった。
もうどこにも居場所がないのだから、逃げても無意味であると知っていた。
それでも一歩ずつ、少しずつ歩を進めるのは、刻みたいからだ。
何の役にも立たないと、邪魔者だと言われ育った僕が、やっと人の役に立てる時が来た。
罪を背負っていたとしても、僕には嬉しくて、誇らしくいられる瞬間だった。
だから形として残らなくても、想いという見えない形を、しっかり地を踏みしめることで残したい。
そう感じたからだ。





9に続く
目覚めると祖母の代わりに美しい女がいた。
時が止まったままの、祖母の娘。
「…おはよう」
魔女という名とはまるで無縁な、穏やかで優しい声が響く。
だがその瞳は色を失ったように、表情という表情を見せない。
何と返してよいものか分からず、まずは体を起こした。
景色は変わらない月明かりの下。
まだ空には星が瞬く時間。
夢の中での祖母との逢瀬は思ったよりも短い時間だったらしい。
「…貴女を救う鍵を与えた魔女、彼女は…つい先日、亡くなりました。」
挨拶の代わりに出たのはこんな言葉だった。
いきなりでどうかとも思ったが、彼女には知る権利があるだろうから…。
「…そう、なの…」
声だけで感情は読めない。
でも、少しでも悲しんでくれたら…。
祖母の為にも、そう思った。
「僕は貴女だと聞きました。僕は、貴女を救えると。何を、すればいいでしょう?」
彼女はじっと僕を見た。
僕がまだ子供だから、殺させることに躊躇いでも感じているのか?
見た目だけならそんなに変わらないのに。
やがて彼女は僕から空へ視線を移した。
まるで今は亡き祖母に是非を問いかけるように…。
「…私と貴方の魂が触れ合えば…浄化されるでしょう。」
言われてもよく分からなくて、軽く首を傾げると、互いに抱き締め合うだけですと説明された。
「今少し…私に時間をくれませんか?あの方…あの優しい魔女に、お礼代わりに歌を…捧げたいの。」
僕は黙って頷いた。
急ぐことでもないし、何より祖母が喜ぶだろうから。
魔女は小さくありがとう、と言って立ち上がった。
目を閉じて紡ぐのは穏やかな鎮魂歌。
幾千もの時を彼女と過ごしたであろう歌。
彼女自身に向けて歌われてきた歌が今、母に向けて歌われている。
森に響くその済んだ歌声は、空へと消えていく。
永久にも刹那にも感じられる時だった。
魂が一緒だからだろうか。
その歌は僕の心までも鎮めていく。
居場所を無くした哀しみも、愛されなかった哀しみも、背負った罪の哀しみも、全てを忘れ、穏やかな気持ちで満たされる。
けれどその時に永遠はない。
歌は終わりを告げ、魔女は祈りの言葉で締めくくると、僕に向き直った。
「―そろそろ、終わらせましょうか。」
出逢った時と変わらない、優しい声で魔女は言った。



8に続く
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