予告通りボクキミを更新です
今回はちょっと長い…かも?
サキ:廃墟、だな…
クオ:こんないかにも崩れそうな建物に住もうと思うのは君くらいだろうね
サキ:…教会っぽいな。欠けた像や十字架がある…
クオ:いちいち口にしなくても見ればわかるよ。僕は君のような馬鹿じゃない。
それとも何?声に出して僕に確認しなきゃ理解出来ないの?
ごめんね、それには気付かなかったよ
サキ:……。―多少人が住んでた形跡があるな…幸せ、だったのかな?
クオ:あぁ、幸せだったよ。君が足を踏み入れる前までは
ほらそこ、手を触れるなって女の子が怒ってるよ
どこまで悪なんだい、君は?
サキ:…クオ…もしかして、お前…
クオ:あぁ、見えるよ。此処に留まる魂たちが
サキ:なんだとー!!お、おまっ…な…それ、ど…して…
クオ:ちゃんとしゃべりなよ。仕方ないでしょ、見えるんだから
サキ:…で、クオ…その女の子…今どうしてる?
クオ:君の側にいるよ。ほら、今も手を伸ばしてる。良かったね。
天国へのお誘いがかかったようだよ、サキ。
…あ、君の場合は地獄か。
サキ:満面の笑みで言うことじゃなーい!!
何だ、その遊びに行く子供を見送る母のようなまなざしはー!!
死んだら帰ってこられないんだぞ!早くなんとかしろ!
クオ:嫌だから帰ってこないでよ?折角可愛い子が誘ってくれてるんだ
女の子に声を掛けられるなんて絶対にないんだから、君は。
この時を逃せば二度とこないチャンスだよ
サキ:あぁそうだよ!これで死んだら今後のチャンスもあるか!
だから早く助けろ!
クオ:…わかったよ。そんなに君が言うなら…
サキ:言うなら…?
クオ:僕の魔法で一気にあっち側へ送ってあげるww
サキ:ちっがーう!!助けるんだって!!笑顔で杖向けるなー!!
馬鹿、マジで殺す気か!!
クオ:馬鹿はどっちだよ…
サキ:…へっ?
クオ:仮にも教会に留まる魂だよ?地獄って言ってる時点で疑いなよ。
それにね、君のような人間は存在自体が害なんだ
そんな魂は天国も地獄も門前払いに決まってるでしょ?
誰が好んで連れて行くんだい?
サキ:何かすげー言われようだけど…嘘ってことだよな、これ?
クオ:残念ながらね。…チッ、早くトドメ刺しときゃ良かった…
サキ:(舌打ちしやがった!!それにしても…)
サキ:安心したー!!一時はどうなるかと…幽霊なんて…
クオ:…言っておくけど、僕が見えるのは本当だよ?
女の子もちゃんと側にいるよ?
サキ:…マジで…?
クオ:ふ~ん…君ってこういうの苦手だったんだ。
それは勇者の風上にも置けないね。転職すべきだと僕は思うな。
サキ:だ、誰にだって苦手ってのはあるんだ!
勇者といえども、見えない敵は怖いんだ!!
クオ:苦手も努力で克服し、見えない敵にも勇気を持って立ち向かうのが真の勇者の姿だよ
やっぱり君に勇者はムリだよ。見習いで充分…いや、それ以下だ
サキ:ムリっていうなよ…余計傷付く…。
いいか、夢や希望を常に心に抱き続けることが、実現への第一歩なんだ!!
クオ:その無駄にポジティブな所が、唯一君の勇者らしい一面だね
そんな君に手っ取り早く勇者になれる方法を教えてあげるよ
サキ:そんな方法があるのか!?
クオ:君が死ぬ。それだけで世界は救われ、
サキという名の幽霊が苦手な自称勇者の少年はたちまち英雄だよww
サキ:…お前…どれだけ俺を悪者にしたいんだ…?
~終わり~